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人妻援護会コラム

2024

04.15

Mon

日刊デリヘル経営・援護会コラム『吉原の三景物 三月の仲之町桜』
吉原には独自の文化が花開いており、吉原には『三景物』といわれるイベントがありました。
それが、『三月の仲之町桜・七月の燈篭・八月の俄』です。
今回は、多くの人でにぎわった吉原の季節のイベント。三景物の中から、『三月の仲之町桜』についてご紹介します。
〇江戸の庶民にとって桜の花見は一大イベント!
『お花見』というと、令和の時代でも『桜』を連想する人がほとんどではないでしょうか。
江戸の庶民にとってもそれは同じで、年に一度の桜の開花シーズンは春の一大イベントでした。
前の晩から準備をして、1日がかりで出かけることも当たり前だったそうですよ!
そんなお花見好きの江戸庶民のために、文政10年(1827)に『江戸名所花暦』という行楽ガイドブックが出ます。
気になる中身はというと、江戸の代表的な観光名所が書かれていて、四季折々の花鳥風月を長谷川雪旦(はせがわせったん)のイラストとともに紹介されていました。
今でも有名な桜の名所である、上野や浅草、隅田川堤や飛鳥山などが紹介されている中、異色だったのが「新吉原」。
『あれ?今の吉原にも桜の名所があるの?』と思いましたか?
実は吉原の桜は、開花する季節にだけ植えられる期間限定の桜だったんです。
〇吉原の桜は期間限定
吉原の桜は、毎年3月1日頃(現在の3月下旬です)、吉原遊郭のメインストリートである仲之町に数千本植えられたと言われています。その年の気温によって、植える日を調整するという徹底ぶりだったそうです。
毎年桜の季節になると、吉原遊郭のメインストリートに、見事な桜並木ができあがり、大勢の人が訪れていました。
植えられた桜は、150両(約900万円)もの大金をかけて、山から根の付いたまま運び、散ると抜いてしまうという豪勢なものでした。費用は、吉原に出しているお店が分担して負担していたといいます。
〇さいごに・当時に思いをはせて
吉原遊郭を訪れた人は、皆大門をくぐります。メインストリートの仲之町に植えられた数千本の桜がばあっと目に入ります。
なかでも人気だったのは、『3月の夜桜』。
想像してみてください。当時は電気がなく、油も高かった時代なのです。
夜はまっくらになるのが当たり前という時代に、桜の木の下に山吹を植えて、周囲を青竹の垣根で囲い、ぼんぼりに灯をともしました。それはとんでもなく美しい光景だったことでしょう。
『三月の仲之町桜』はこのように、年に1度吉原に現れる特別な桜のイベントでした。まさに江戸時代の人々にとって、吉原は非日常の空間だったことが想像できます。

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