今も吉原を歩けば、さまざまなランクのソープランドを目にします。
「高級店のサービスってすごいのかな？かわいい子がいるのかな？」なんて高級店をチラ見しながら、お財布と相談して大衆店に入った、なんて思い出のある方も多いのではないでしょうか。
それは江戸時代の庶民も同じだった様子。
江戸の吉原のお店（見世）ランクは、見世に在籍する遊女の人気によって決まっていました。
今回は、最高位の「大見世」から「切見世」まで、吉原の見世のランクをご紹介します！

江戸・吉原の見世のランクは、以下の4種類に分けられ、遊び代にはかなりの差がありました。

・大見世：約10万円
・中見世：約7万5千円
・小見世：約5万円～約2万5千円
・切見世(銭見世)：約1万2千500円
（末端のお店だと2000円という店も……）

最高級の遊女・花魁が在籍する大見世。ここで花魁と遊ぶには、引手茶屋という名の案内所を通して宴会の準備をしなくてはいけないので、揚代の10万円では済みません。
風俗嬢と遊ぶというより、銀座のママと一夜をともにするような感覚が近いかもしれないですね。お店でいっぱいお金を使い、何度も通わなければ、一夜をともにできないのです。
一方、最下級ランクの切見世は現代で言う「格安風俗」。
最下層の見世で働く女性は『鉄砲女郎』と言われ、劣悪な環境下で働いていました。
『鉄砲女郎』と呼ばれる女性たちは、わずか二畳ほどの女郎部屋で、1000～2000円程度で相手していたといいます。

さて、気になる見世のランクですが、江戸の男性たちは簡単に見分けることができました。女性たちを覗く「籬(まがき)」と呼ばれる格子がポイントだったのです、
妓楼の格子といえば、着飾った遊女が自分の姿を見せながら客を待つ「張見世」が有名ですよね。
大見世ではこの格子を「大籬(おおまがき)・惣籬(そうまがき)」と呼んでおり、全体が格子になっていました。
しかし、中見世になると、「判籬(はんまがき)」と呼ばれる格子が使われていました。これは右上の4分の1が開いている作りになっていました。そして小見世になると、格子は下半分しかない「小格子・惣半籬(そうはんまがき)」と呼ばれるものだったのです。
つまり、見世のランクが低くなるほど格子の面積が少なくなり、客から遊女が見やすくなっていた、というワケ。
また、当時は、格子越しに遊女の顔を眺めたり、あれこれ話しかけて楽しみ、買わずに帰ってしまう男性が多かったので、
「あら、あの男また来た」「買わないよ。紙を冷やかしてる間に来てるだけよ」と、遊女たちがひそひそ噂していたのだとか。
こうして買う気も無いのにぶらぶらする行為のことを『冷やかす』というようになりました。