Column
人妻援護会コラム

2024

11.22

Fri

日刊デリヘル経営・援護会コラム『平成の風俗 ビデオ安売王』
「あなたは月給200万円もらっていますか?」
 これは、ビデオ安売り王が雑誌「SPA!」に打ち出した全面広告のキャッチコピーです。
 ビデオ安売り王は1993年9月にビデオ販売店のフランチャイズ展開を始めると、わずか10か月(1994年7月)で164店舗を達成。その後も店舗を増やし続け、雑誌「SPA!」「フライデー」などに全面広告を打ちまくりました。こうして、最盛期には1000店舗を超えるまでに成長したのです。
 今回は、飛ぶ鳥を落とす勢いで広がったフランチャイズ店・ビデオ安売り王についてご紹介します。
ビデオ安売り王の野望
ビデオ安売り王が挑戦したもの。それは、レンタルビデオが中心だったビデオ業界のなかで、『販売』で勝負に出ることでした。
 勝算はありました。アダルトビデオはコピー作品や大手メーカーの焼き直し作品などはかなりの低価格で仕入れることができたからです。

 ビデオ安売り王は安さを武器に、20坪の店舗で月売り上げ350万円を稼げるとして、フランチャイズ店を募りました。全国2000店舗展開を目指し、最終的には、一般ビデオを開放するのが目標だったと言われています。
 最終的にはハリウッドの未公開フィルムを買い付けし、メディアの専門サプライヤーになることが目標だと、当時の専務取締役本田俊夫は加盟店説明会で説明していました。

 専門知識は必要ない。3000円のビデオが1日40本売れれば1日6万円の利益が出る。1時間にわずか4、5本販売本数すれば達成できるから、余裕である。あなたは店舗にアルバイトをおくだけでOKだ。サイドビジネスとしても手がけられる……。
 そんな文句をリクルートムック『独立・開業・フリーになる本』などで宣伝したこともありました。

 「この人の夢に乗っかればきっと稼げる」
 
 そして、専務の夢にかけたオーナーは増え続け、最盛期には1000店舗を超えるまでに成長したのです。店舗は都市部だけでなく、地方にも積極的に展開され、急速に店舗網が広がりました。
 しかし実際は、40本(日商12万円)を売り上げる店舗はごく一握りであり、直営店である東京駅前店の当時の売り上げですら月250万円程度でした……。
フランチャイズ店の悲鳴
フランチャイズ店運営にかかる費用をまとめると以下のようになります。
 ・加盟料100万円、看板や什器などで200万円支払う
 ・ロイヤリティはなし
 ・仕入れは日本ビデオ販売(本社)が一括で管理、掛け率50%(後に70%へ変更)


 本部からの説明では、万が一、月間売り上げが経費(家賃、人件費、光熱費)を下回った場合はその差額を本部が負担すると言われていました。しかし、実際は売り上げの50 %が粗利なので、赤字になることは避けられませんでした。
 また、『回転しない在庫を無料で他の加盟店の在庫と交換する』という在庫ローテーションシステムも、実際はどこの店でも売れ残っている商品は同じで効果はなく。本部のデータに基づき、売れ行き商品を共有したり、1週間ごとに新作を納品するというバックオーダーシステムという機能もありましたが、実際は売れゆきに関わらず大量生産し、各店舗に強制的に送りつけるというお粗末なものでした。
 店舗運営指導も、実際は地方へはほとんど来ず、売り上げの良い店舗を視察に来る程度……。しだいに加盟店側は不満をつのらせていきました。
倒産の原因
その後、派手な広告やアダルト商品の取り扱いが影響し、警察当局は安売り王の規制を強化していきます。
ディズニー映画「ポカホンタス」に似たパクリ作品を輸入販売し、著作権侵害が疑われ問題化。加えて、加盟店の不満による独自仕入れが増加し、本部の資金繰りが悪化し、最終的には自転車操業を繰り返した末に倒産しました。
さいごに
いまや、映画やアダルト動画はインターネットが主流となり、レンタルビデオ店もほとんど見かけなくなりましたね。
今、このインターネット社会に、ビデオ安売り王の社長が切り込むなら、どんな会社をたちあげるのでしょうか。
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