2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』が放送開始され、注目を集めています。江戸で活躍した出版界の革命児・蔦屋重三郎を主人公に、色と欲が渦巻く吉原を色濃く描いた今作。ドラマの第1話に登場したのが、東京都荒川区南千住にある「浄閑寺(じょうかんじ)」でした。
〇浄閑寺とはどんな寺?
浄閑寺は江戸時代から続く浄土宗の古刹。とくに有名なのが、新吉原の遊女たちの菩提寺としての歴史です。
花魁と言えば、その華やかな見た目の裏に、厳しい年季奉公、病、孤独、絶望を背負っています。「浄閑寺(じょうかんじ)」は、名もなきまま亡くなった遊女やその子どもたちが多く眠っており、いつしか「投げ込み寺」と呼ばれるようになりました。
入口の霊廟をくぐると、ひっそりと数多くの墓が並んでおり、寂しさとやさしさが共存している風景が広がっています。いまも彼女たちの墓には、地元の檀家や参拝者によって多くの花が供えられています。
花魁と言えば、その華やかな見た目の裏に、厳しい年季奉公、病、孤独、絶望を背負っています。「浄閑寺(じょうかんじ)」は、名もなきまま亡くなった遊女やその子どもたちが多く眠っており、いつしか「投げ込み寺」と呼ばれるようになりました。
入口の霊廟をくぐると、ひっそりと数多くの墓が並んでおり、寂しさとやさしさが共存している風景が広がっています。いまも彼女たちの墓には、地元の檀家や参拝者によって多くの花が供えられています。
〇浄閑寺にまつわる悲話
・ 小夜衣地蔵尊とその悲話
山門左手にある「小夜衣供養地蔵尊」。
伝説によれば、小夜衣という遊女は、火事の罪を女将に押し付けられ、火あぶりの刑に処された悲劇の女性。彼女の無念は強く、その後も、法事のたびに店に火が出るようになり、ついにはその店は潰れてしまったそうです。
廓の人々がようやく彼女の霊を慰める仏事を行うと、火事は止まったのだそう。この地蔵尊には「悪い部分をなでると良くなる」と言われており、いまでも多くの参拝者が手を合わせています。
・叶わなかった恋……若紫の墓
霊廟の門のすぐ近くには、角海老楼の遊女「若紫」の墓があります。彼女はあと5日で年季が明け、恋人と一緒になるところで、店に来た客に突然切りつけられ、命を奪われました。
遊女の身分のまま亡くなった彼女は、他の遊女たちと同じく浄閑寺に埋葬されました。現在も墓前には美しい花が供えられています。
・新吉原総霊塔と「苦界」
寺内には、名もなき多くの遊女たちを供養する「新吉原総霊塔」があります。裏手には無数の骨壺が納められており、まさに”哀しみの集合”とも言える場所。
石碑には「生まれては苦界 死しては浄閑寺 花酔」という言葉が刻まれています。
生まれた時から苦界(=遊郭)で生き、死後も故郷ではなくこの寺に眠る遊女たち。そんな彼女たちの魂を慰めるように、いまも花が手向けられているのです……。
〇さいごに・浄閑寺は令和の今も「生きた寺」
歴史的背景から「哀しみの寺」と言われることが多い浄閑寺ですが、このお寺は地元の人々にとっては今も「身近な祈りの場」だとなっています。
華やかな吉原の陰に埋もれた遊女の命。その声なき声を、浄閑寺は静かに守り続けています。
華やかな吉原の陰に埋もれた遊女の命。その声なき声を、浄閑寺は静かに守り続けています。